Periodontal treatment歯周病治療
About歯周病とは
歯周病は歯周病原菌によって引き起こされる感染症で、歯を支えている歯周組織に起こる病気です。最近の歯科疾患実態調査によれば、日本人の約80%が何らか歯周病の症状を持っていながら、実際に歯科を受診した人は約3%程度しかいないと推計されており、進行しないと深刻な症状が出にくい病気であるという側面があります。
歯周病は歯肉炎と歯周炎に分けられますが、歯肉炎は歯の周囲に繁殖する細菌によって発症する歯肉の炎症です。症状としては、歯肉が赤みを帯び、出血、痛み、腫れなどがみられます。
歯肉炎は歯周炎の前段階と考えられており、長期間放置すると歯周炎に移行してしまうケースもありますが、歯肉炎の段階であれば、エックス線検査や歯肉の診査では歯槽骨など歯を支えている組織の喪失はありません。そして幸いなことに口腔清掃(ブラッシング)をしっかり行うことで炎症が消失し、もとの健康な状態に戻ります。
これに対して歯周炎は歯肉炎と同様に細菌による炎症が歯肉の表層から歯周組織の深部まで達していますが、ここで決定的に歯肉炎と違うのが、歯周炎では歯周ポケットがつくられて、歯を支えている組織であるセメント質、歯根膜および歯槽骨が壊されてしまうという点です。 このため、歯周炎ではブラッシングを行っても一度破壊された組織が完全に回復することはなく、歯周ポケットの深い部分では手当を受けないかぎり病気が進行する可能性があります。症状として歯肉の腫れを繰り返す、歯肉から出血や膿が出る、噛むと痛みがある、歯の動揺などがあります。
歯周炎の進行速度は比較的緩慢で数年単位で進行しますが、糖尿病や喫煙などは歯周組織の抵抗力を低下させ歯周炎の進行を早める原因となります。

Flow歯周病治療の流れ
初診
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歯周病検査・診断
歯周病の進行程度や原因を把握して正しく診断し、適切な治療計画をたてるために行います。
具体的な検査内容の一部として歯周ポケットの深さの測定、歯周ポケットからの出血の有無、歯の動揺の程度、エックス線検査などがあります。
その検査結果をもとに日本歯周病学会の歯周病の分類に沿って診断します。 -
歯周基本治療
ブラッシング指導、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整(かみ合わせの調整)、暫間固定(動揺のある歯を一時的に固定すること)などを行います。
ブラッシング指導では、治療を進める上ですべての段階で重要であるセルフケア(ご自身でのブラッシング)の確立のためにブラッシング方法についてのアドバイスをいたします。
そして歯周ポケット内の歯石除去、細菌に感染している歯根表面の除菌、清浄化を行う「スケーリング・ルートプレーニング」は歯周病治療の前半部分の最も大事な治療です。 -
再評価検査
歯周基本治療後の再評価検査で深い歯周ポケットが残った場合、歯周基本治療によって治癒しない原因を検討し、歯周外科治療の適応かどうかを判断します。
再評価検査の結果、歯周ポケットからの出血がなく、深さも正常な値であれば歯周基本治療の効果が十分出ているとして、それ以上の治療は当面必要ないと判断します。 -
歯周外科治療
歯周基本治療を行っても、出血を伴う深い歯周ポケットが残っている場合や、歯周病により破壊された歯周組織に再生の可能性が残されている場合には歯周外科治療を検討します。
歯周炎が進行した歯に対して行う歯周外科治療には、従来から行われてきた病変の進行を食い止めて残っている支持組織を維持するフラップ手術と失われた歯槽骨などの歯周組織を回復させる歯周組織再生療法があります。
どのような歯周外科の治療法を行うかについては、その歯の歯周炎の進行程度や残っている歯槽骨など歯周組織の状態に合わせて選択、決定します。ただ、あまりにも歯槽骨の喪失が大きい場合、歯を保存するために行う外科治療そのものが不可能なケースもあります。
■歯周組織再生療法 歯周病が進行すると歯周組織である歯根膜、セメント質、歯槽骨が破壊され、深い歯周ポケットができます。歯周組織再生療法とは、失われたこれらの歯根膜、セメント質、歯槽骨を再構築する治療法のことをいいます。
歯周組織再生に関する研究の歴史は長く、現在でも有効な手段である自家骨移植術が古くからあり、その後、歯周病で壊された歯槽骨の欠損をバリア(テフロンやコラーゲンの膜など)で覆うことにより歯周組織の再構築をはかる歯周組織再生誘導法(guided tissue regeneration:GTR法)が発表され、臨床に応用されてきました。
その十数年後、エムドゲイン®という材料が発表されましたが、GTR法は手術方法がやや煩雑であるため、よりシンプルな手術方法であるエムドゲイン®を用いた歯周組織再生療法が臨床の場で広く応用されてきました。
ここではエムドゲイン®について少しご説明いたします。
エムドゲイン®はスウェーデンで開発され、現在の科学水準に基づく高い安全性確保のもと、幼若ブタ歯胚から抽出精製した歯周組織再生に用いる材料です。エムドゲイン®の主成分はエナメルマトリックスタンパク質といって、子供の頃、歯が生えてくるとき歯根の周りに歯周組織が形成される際に働くタンパク質の一種です。エムドゲイン®には、壊されてしまった歯周組織の欠損部にもう一度、歯根を支える歯周組織をつくる細胞を呼び集め、歯周組織が再構築される環境を提供する働きがあります。
臨床応用されて20年以上の歴史を持ち、現在までに世界で200万人以上の治療実績がありますが、副作用の報告はありません。エムドゲイン®に関する研究報告は1000以上あり、歯周組織再生療法において世界的に最も使用されている材料のひとつです。
現在ではエムドゲイン®の弱点もわかってきており、エムドゲイン®はゲル状の材料であるため、単独使用では大きな骨欠損のスペースが保てず、流れ出てしまって不向きです。このようなときは骨の移植材料やGTR法を併用して補強することによりエムドゲイン®の弱点が補われて治療成績が向上することが報告されています。エムドゲインを歯根面に塗布する前 エムドゲインを歯根面に塗布し骨欠損が満たされている状態 -
再評価検査
歯周外科手術を行ってから十分な治癒期間ののち再評価検査を行います。従来型の歯周外科手術で3か月後、歯周組織再生療法では最低でも6か月以上待ってから再評価検査を行います。再評価検査の結果、歯周ポケットの深さが概ね正常となり出血が少なくなるなど、歯周組織の健康状態が回復、安定していることが確認されれば原因除去療法による治療は完了となります。ただ、一部の歯、歯肉の部位においては健康が取り戻せない場合もあります。
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口腔機能回復治療
クラウン、ブリッジ、義歯、インプラントなどにより、咀嚼、審美、発音機能を回復させるための治療が主体となります。歯周炎の進行を食い止め、病状を安定させてから、すなわち家を建てる場合の基礎工事にあたる歯周病治療が一段落して、はじめて口腔機能を回復する治療に移行します。
再評価検査
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メインテナンスもしくはサポーティブセラピー(歯周維持療法)
■メインテナンス 歯周病の再発を防ぐために、すべての歯で歯周組織の治癒が認められた場合でも定期的なメインテナンスは必須であり、概ね3か月から6か月ごとに歯周ポケットの深さ、歯周ポケットからの出血の有無の診査を行いながら、歯表面のクリーニングおよび要注意部位のプラークおよび歯石除去、歯根面の滑沢化など非外科的な治療に加え口腔衛生のアドバイスも行います。
メインテナンスでもサポーティブセラピーでもとにかく最も重要なことは毎回の検査結果が変わらずに安定していることが大事であるということです。長期にわたりメインテナンスで通院していると、通院している意味が本当にあるのかと思われるでしょうが、もしそこに異常が見つかれば即座に対応した治療を行えます。そして何も変化がなく良好な検査結果であれば、それはホームケアが適切に行われている証拠であり、望ましいことです。
■サポーティブセラピー(歯周維持療法) 歯周基本治療、歯周外科治療後の再評価で、ほとんどの部位で歯周炎の進行が停止し歯周組織は治癒したが、一部で病変の進行が休止した歯周ポケットが残った場合、そのような部位を長期にわたり病状安定させるための治療としてサポーティブセラピーがあります。
概ね3か月ごとに歯周ポケットの深さ、歯周ポケットからの出血の有無の診査を行いながら、要注意部位のプラークおよび歯石除去、歯根表面の滑沢化など非外科的な治療に加え口腔衛生のアドバイスも行います。
- *各治療のステップごとに再評価を行い、次の段階に進んで行きます。
- *再評価の結果、歯周外科治療や、口腔機能回復治療が必要ないと判断した場合、歯周基本治療後にメインテナンスへ移行することもあります。
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